2012年5月12日土曜日

自己分散型顔料ならびにその製造方法および使用|詳細 - Astamuse(アスタミューゼ)


以下の情報は、出願公開日時点(2010年12月02日)のものです。

0001

使用分野
本発明は自己分散型顔料の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は顔料の表面改質に関する。表面が共有結合により改質されている顔料は、自己分散型顔料として産業界では周知である。この表面改質は水性環境中で行なうことができ、環境にやさしいと言える。さらに本発明は、表面改質した顔料を含む最終用途、例えば、これらに限定されるものではないが、被覆剤、塗料、紙、接着剤、ラテックス、トナー、布地、繊維、プラスチックおよびインクに関する。最終用途の具体例としては、これらに限定されるものではないが、紙、布地、繊維、金属修飾およびプラスチック用の印刷インク、ウッドステイン、筆記用具およびカラーフィルターなどが挙げられる。また本発明は、インクジェットインクなどのインク類にも関する� �


0002

背景
顔料は、それがインク、被覆剤、塗料、紙、接着剤、ラテックス、トナー、布地、繊維、ウッドステイン、カラーフィルターおよびプラスチックの状態になると、水溶性染料よりも優れたいくつかの有利な点がある。顔料は、水溶性染料に比べると、優れた耐光性、耐水性、光学濃度および縁部明瞭度の少なくとも1つを示すことができる。しかし残念なことに、顔料は、保存中に沈殿しやすい傾向もあり、そのため、当初はインクジェットインクなどの厳しい用途ではそれらの使用が限定されている。コロイドを安定させる化学添加剤と組み合わせて顔料粒子をサブミクロンレベルに粉砕する媒体ミルが登場すると、インクジェットインク配合物における顔料分散液の使用が進んだ。しかし、化学添加剤は分散液の粘度を上昇させるた� �、インクジェットプリントヘッド内の小さな開口部からインクを噴射するのが困難になる可能性がある。さらに、化学添加剤は、上述の物質の調製に関するコストを大幅に増やす可能性があり、したがって経済的にも好ましくない。また、化学添加剤(すなわち分散剤)は顔料の表面へ結合されていなくてもよいため、安定化の点で支障をきたす場合がある。よって、化学添加剤を用いる既存の染料ベース系および色素系に主として関わっている問題の少なくとも一部を解消する、特にインクジェットプリンターで使用するためのインク組成物の改良が依然求められている。さらに、化学添加剤を用いる既存の染料ベース系および色素系に主として関わっている問題の少なくとも一部を解消する、顔料を使用する物質の改良も依然求められて� ��る。


0003

概要
一態様では、本発明は、塩化シアヌルを約3当量の第2の化合物または第2の化合物の混合物と反応させ、全反応性塩素を置換して置換トリアジンを形成させることを含み得る、顔料の改質方法を提供することができる。また、置換トリアジンを顔料の表面と反応させ、表面改質顔料を形成させることもできる。

0004

別の態様では、本発明は、X-[Y]n反応基を有する反応性化合物を第2の化合物N-S-ZMと反応させ、置換反応性中間体[Y]a-X-(N-S-ZM)bを形成させることを含み得る、顔料の改質方法を提供することができる。さらに、本方法は、顔料を置換反応性中間体[Y]a-X-(N-S-ZM)bと反応させ、顔料の表面に置換反応性中間体を結合させて表面改質顔料を形成させることもできる。Xは、スルホニル、ホスホリルまたは1,3,5-トリアジニル基であってもよい。Yはハロゲン脱離基であり、Nは求核基であり、Sは有機基であり、ZMはイオン化可能な末端基であってもよい。また、nは1〜3の整数であってもよく、bは1〜3の整数であってもよく、a=n-bである。nがbと同じであるか、bより大きい場合、およびbが2または3であるならば、N-S-ZMはそ� ��ぞれ、同一であっても異なっていてもよい。

0005

また別の態様では、本発明は、反応基を顔料の表面に結合させることを含み得る、顔料の改質方法を提供することができる。次いで、反応基は、イオン化可能な末端基を有する有機基質で置換することができる。顔料は、ピグメントレッド122、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントレッド202、ピグメントレッド188、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー97、ピグメントグリーン7、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、およびピグメントイエロー74からなる群から選択することができる。

0006

さらなる態様では、本発明は、反応基X-Yを顔料の表面に結合させることを含み得る、顔料の改質方法を提供することができる。次いで、Yを有機基質N-S-ZMで置換し、X-N-S-ZMが結合されている表面改質顔料を形成させることができる。Xは、スルホニル、ホスホリルまたは1,3,5-トリアジン基であってもよい。Yは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。Nは、アミン基、イミン基、ピリジン基またはチオール基であってもよい。Sは、置換もしくは非置換のアルキル、アリール、または分子量範囲が約300〜約8000の高分子鎖であってもよい。Zは、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基またはトリブチルアンモニウム基であってもよい。Mは、ハロゲン化物、負荷電イオ ン、塩形態のプロトン、または塩形態のカチオンであってもよい。

0007

本発明の別の態様は、詳細な説明および添付の図面を検討することにより明らかであろう。


0008

未処理のカーボンブラック試料ならびに実施例1、20、31および41で得たカーボンブラック試料に関する低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示す図である。未処理のカーボンブラック試料ならびに実施例1、20、31および41で得たカーボンブラック試料に関する高分解能N1s XPSスペクトルを示す図である。未処理のカーボンブラック試料ならびに実施例1、20、31および41で得たカーボンブラック試料に関する高分解能O1s XPSスペクトルを示す図である。未処理のカーボンブラック試料ならびに実施例1、20、31および41で得たカーボンブラック試料に関する高分解能S2p XPSスペクトルを示す図である。未処理のピグメントブルー15試料ならびに実施例7、9、11、16および42で得たピグメントブルー15に関する低分解能XPSスペクトルを示す図である。未処理のピグメントブルー15試料ならびに実施例7、9、11、16および42で得たピグメントブルー15試料に関する高分解能O1s XPSスペクトルを示す図である。未処理のピグメントブルー15試料ならびに実施例7、9、11、16および42で得たピグメントブルー15試料に関する高分解能Na1s XPSスペクトルを示す図である。未処理のピグメントレッド122試料ならびに実施例14、21、37および45で得たピグメントレッド122試料に関する低分解能XPSスペクトルを示す図である。未処理のピグメントレッド122試料ならびに実施例14、21、37および45で得たピグメントレッド122試料に関する高分解能O1s XPSスペクトルを示す図である。実施例14、21、37および45で得たピグメントレッド122試料に関する高分解能Na1s XPSスペクトルを示す図である。実施例14、21、37および45で得たピグメントレッド122試料に関する高分解能S2p XPSスペクトルを示す図である。未処理のピグメントイエロー74試料ならびに実施例15、29および46で得たピグメントイエロー74試料に関する低分解能XPSスペクトルを示す図である。未処理のピグメントイエロー74試料ならびに実施例15、29および46で得たピグメントイエロー74試料に関する高分解能C1s XPSスペクトルを示す図である。未処理のピグメントイエロー74試料ならびに実施例15、29および46で得たピグメントイエロー74試料に関する高分解能O1s XPSスペクトルを示す図である。


0009

詳細な説明
本発明のすべての実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその適用において、以下の説明で記載した構造の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態をとることが可能で、様々な方法で実施および実行することができる。また、本明細書で用いる表現および用語は説明をするためのものであり、限定するものとみなすべきではないことを理解されたい。「包含する」、「含む」または「有する」、ならびにこれらの異種表現の使用は、本明細書では、それ以降に列記する項目およびそれと同等の項目ならびに追加項目を包含することを意味する。

0010

また、本明細書で示す全ての数値範囲は、最小値から最大値までの全ての値を包含するものと理解されたい。例えば、濃度範囲が1%〜50%と述べられている場合には、例えば2%〜40%、10%〜30%、または1%〜3%等の値が本明細書において明白に列記されているものとする。具体的な対象のもののごくわずかな事例のみであり、列記されている最小値と最大値の間の数値およびこれらの値を包含する数値の全ての可能な組み合わせが本明細書において明白に記述されているものと理解されたい。

0011

一実施形態では、本発明は、顔料の改質方法を提供する。この方法は、反応性分子の介在により有機基を荷電末端基(負荷電または陽荷電)と結合させ、表面を安定化させた改質顔料を得ることを含み得る。持論に限定されるものではないが、この安定化は、サブミクロンサイズの顔料粒子上に共有結合で結合されている同様に荷電した基が反発力により均一に分布することによっても達成されると考えられる。

0012

別の実施形態では、本発明は、顔料の改質方法を提供する。この方法はクロロスルホン化工程を含み、反応性塩化スルホニル中間体を形成させ、次いで、前記中間体を上記の適切な有機分子と反応させることができる。一態様では、クロロスルホン化度を高めて液体ゲルまたはミセル状組成物を得ることもできる。これらは、未処理顔料と粉砕した場合に、安定した分散液を形成する。

0013

また別の実施形態では、本発明は、上記のような適切な有機分子に結合されている反応性中間体と顔料との反応により形成された自己分散型顔料を含む分散液を提供する。水性環境において安定性のある反応性中間体の選択は、本発明の別の態様である。

0014

別の実施形態では、本発明は、反応基を顔料の表面に結合させ、次いで、イオン化可能な末端基を有する有機基質で前記反応基を置換することを含み得る、顔料の改質方法を提供する。

0015

さらなる実施形態では、本発明は、顔料1グラム当たり約0.01〜約1.0ミリモルのSおよび約0.01〜約2.0ミリモルの活性水素を含む自己分散型顔料と水とを含む分散液を提供する。別の実施形態では、本発明は、顔料1グラム当たり約0.06〜約0.7ミリモルのSおよび約0.07〜約1.6ミリモルの活性水素を含む自己分散型顔料と水とを含む分散液を提供する。

0016

自己分散型顔料の製造方法
本発明の一態様は、安定な自己分散型顔料の製造方法に関する。

0017

本明細書では、「顔料」という用語は、普通紙またはコート紙、フィルムおよび他のタイプの受容媒体などの基材に色を付与するのに用いられる、溶剤中の不溶性物質を意味する。顔料は黒色ならびに他の色であってもよい。

0018

本明細書では、「自己分散型」顔料という用語は、その表面に共有結合している安定化基を有しており、追加の分散剤がない状態でも安定な水性分散液を形成する顔料を意味する。

0019

本明細書では、「安定(性のある)」という用語は、分散液を雰囲気温度において、少なくとも約3月間〜約6月間から約2年間にわたり保存した場合に、経時変化によって分散液が受ける変化が、測定する重要な性質(例えば、平均粒径、粘度、表面張力またはpHの少なくとも1つ)おいて示す変化が10%未満を示す最小の変化であることを意味する。加速試験法は、少なくとも約1週間、約70℃で行う熱安定性試験、または少なくとも約4週間、約70℃で行う熱安定性試験を含む。

0020

第1の実施形態では、自己分散型顔料の製造方法は、
(1) 顔料(P)をX-Y反応基を有する反応性化合物およびハロゲン含有試薬と反応させ、顔料(P)の表面に反応基X-Yを結合させ、それにより顔料反応性中間体(P)X-Yを形成させるステップ;および
(2) 顔料反応性中間体(P)X-Yを第2の化合物N-S-ZMと反応させ、自己分散型顔料(P)-X-S-ZMを形成させるステップ(「置換ステップ」)
を一般に含む。この実施形態の一例は、これらに限定されるものではないが、反応基X-Yを顔料の表面に結合させるステップ;および、次いで、Yを有機基質N-S-ZMで置換し、X-N-S-ZMが結合した表面改質顔料を形成するステップを含んでいてもよい顔料の改質方法を包含し得る。

0021

第2の実施形態では、自己分散型顔料(P)-X-S-ZMの製造方法は、
(1) X-Y反応基を有する反応性化合物を第2の化合物N-S-ZMと反応させ、置換反応性中間体X-S-ZMを形成させるステップ(「置換ステップ」);および
(2) 顔料(P)を置換反応性中間体X-S-ZMと反応させ、第2の置換反応を用いて、置換反応性中間体X-S-ZMを顔料の表面に結合させて自己分散型顔料(P)-X-S-ZMを形成させるステップ
を含んでいてもよい。この実施形態の一例は、これらに限定されるものではないが、X-[Y]n反応基を有する反応性化合物を第2の化合物N-S-ZMと反応させ、置換反応性中間体[Y]a-X-(N-S-ZM)bを形成させるステップ;顔料と置換反応性中間体[Y]a-X-(N-S-ZM)bを反応させ、置換反応性中間体を顔料の表面に結合させて表面改質顔料を形成させるステップ(この場合、nは1〜3の整数であり;bは1〜3の整数であり;かつa=n-bであり;ここでnがbと同じであるかbより大きい場合であって、かつ、bが2または3であるならば、N-S-ZMはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよい)を含んでいてもよい顔料の改質方法を包含し得る。一実施形態では、bが2または3である場合、N-S-ZMはそれぞれ異なっていてもよい。

0022

第3の実施形態では、自己分散型顔料(P)-X-S-ZMの製造方法は、
(1) X-Y反応基を有する反応性化合物を第2の化合物N-S-ZMと反応させ、第1の置換反応性中間体X-S-ZMを形成させるステップ(「置換ステップ」)と、
(2) X-Y反応基を有する反応性化合物をステップ(1)とは異なる第2の化合物N2-S2-Z2M2と反応させ、第2の置換反応性中間体X-S2-Z2M2を形成させるステップ(「置換ステップ」);
(3) 顔料(P)と置換反応性中間体X-S-ZMおよびX-S2-Z2M2を反応させ、置換反応性中間体を結合させて自己分散型顔料Z2M2-S2-X-(P)-X-S-ZMを形成させるステップ
を含んでいてもよい。場合により、S-ZMおよびS2-Z2M2は同一であってもよく、すべての反応基が置換されてもよい。顔料表面への最終的結合は、ラジカル(radical)が介在する不均化反応の1つであってもよい。

0023

第4の実施形態では、自己分散型顔料(P)-X-S-ZMの製造方法は、
(1) 粉砕助剤を使用し、顔料を粉砕および分散させ、水性顔料分散液を形成させるステップ;
(2) X-Y反応基を有する反応性化合物を第2の化合物N-S-ZMと反応させ、第1の置換反応性中間体X-S-ZMを形成させるステップ(「置換ステップ」);
(3) X-Y反応基を有する反応性化合物をステップ(2)とは異なる第2の化合物N2-S2-Z2M2と反応させ、第2の置換反応性中間体X-S2-Z2M2を形成させるステップ(「置換ステップ」);
(4) 粉砕助剤で事前粉砕しておいた顔料(P)を置換反応性中間体X-S-ZMおよびX-S2-Z2M2と反応させ、ラジカル開始反応を用いて、置換反応性中間体X-S-ZMおよびX-S2-Z2M2を顔料の表面へ結合させて自己分散型顔料Z2M2-S2-X-(P)(R)-X-S-ZMを形成させるステップ;および
(5) 自己分散型顔料を精製し、粉砕助剤をはじめとする不純物を除去するステップ
を含んでいてもよい。場合により、S-ZMおよびS2-Z2M2は同一であってもよい。

0024

これらのそれぞれの実施形態では、反応性化合物はX-Y反応基を有していてもよく、この場合、Xとしては、これらに限定されるものではないが、カルボニル、スルホニル、ホスホリル、シアヌリルおよびNHが挙げられ、Yとしては、これらに限定されるものではないが、酸ハロゲン化物脱離基、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物(これらに限定されるものではない)を挙げることができる。適切な一実施形態では、Xは、スルホニル、ホスホリルまたはシアヌリル(1,3,5-トリアジニル)であってもよい。酸ハロゲン化物形成試薬はハロゲンを含有している。かかる試薬の例としては、これらに限定されるものではないが、クロロスルホン酸、塩化チオニル、塩化ホスホリルおよびそれらの組み合わせが挙げられる。これらの化合物� �おいて塩素を他のハロゲンに置き換えることができる。本反応性化合物は、低温で短期間、水性媒体中で安定である。

0025

置換ステップの間、X-Y反応基の少なくとも1つの脱離基Yは、第2の化合物N-S-ZMで置換されるが、この場合、Nは、アミン、イミン、ピリジンまたはチオールなどの求核基であり、Sは、これらに限定されるものではないが、有機基、例えば、置換または非置換のアルキル、アリール、および約1〜100個を超える炭素を有しているか、約300〜約8000の範囲の分子量を有している高分子鎖が挙げられ、負電荷による安定化の場合には、ZMは、酸性の末端基であり、この場合、Zは、これらに限定されるものではないが、カルボキシル、スルホニル、フェノール、およびホスホリルであってもよく、Mは、それが塩形態として存在する場合、プロトンまたはカチオンのいずれかであってもよい。この置換は、顔料の表面に電荷およびバルク(bulk)を付与し得る 。この置換ステップは、水性媒体中で行うことができる。酸性末端の官能基の選択は最終用途によって決まるが、塩基性先端の官能基は脱離基Yを置換するのに十分な求核性を有していなければならない。第2の化合物は、ポリマー、アミン、アミノ酸、アルコール、チオール、およびそれらの組み合わせを含み得る。第2の化合物およびN2-S2-Z2M2 N-S-ZMの例としては、これらに限定されるものではないが、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシ化アミノ酸、スルファニル酸ナトリウム、スルファニル酸、p-アミノ安息香酸ナトリウム、p-アミノフェノール、4-アミノ安息香酸エチル、タウリン、オレイン酸(アミノ)、アミノオレイン酸ナトリウム、4-アミノ安息香酸テトラメチルアンモニウム、およびナトリウム4-アミノフェノレートが挙げられる。さらに第2の化合物としては有機高分子基質が挙げられる。有機高分子基質の例としては、これらに限定されるものではないが、直鎖状アルキル、ならびにHuntsman Chemicals製の商標「Surfonamines」として販売されている、公知の分子量範囲が300〜3000MWの分岐鎖状エトキシおよびプロポキシ鎖ポリマー、直鎖状ポリエトキシ高分子アミン、直鎖状プロポキシ高分子アミン、Johnson Polymers製の商標名「Joncryls」として販売されているスチレンアクリル酸コポリマー、および商標名「Epomines」で販売されているポリエチレンイミンなどが挙げられる。

0026

陽電荷による安定化の場合には、ZMは、正荷電を持つ第4級アンモニウムタイプの末端基であってもよく、この場合、Zは、これらに限定されるものではないが、アンモニウム、トリメチルアンモニウムおよびトリブチルアンモニウムであってもよく、Mは、ハロゲン化物または任意の負荷電イオンであってもよい。第2の化合物N-S-ZMおよびN2-S2-Z2M2の例としては、これらに限定されるものではないが、ジアミノ単環芳香族化合物またはポリエチレンイミン、ポリグアニジン、第4級アンモニウム化合物などからなるカチオン性ポリマーが挙げられる。

0027

最終的な自己分散型顔料は、第1および第2の実施形態に関しては式(P)-X-S-ZMで表すことができる。場合によっては、異なる第2の化合物を含む顔料に結合されている複数の-S-ZMであってもよい。第3の実施形態については、最終的な自己分散型顔料は、式Z2M2-S2-X-(P)-X-S-ZMで表すことができる。最後に、N、Z、MおよびSを修飾する「2」の使用の意味は、N2、Z2、M2およびS2がN、Z、MおよびSと同一であるか、異なることを示す。N2、Z2、M2およびS2は、N、Z、MおよびSに関して上述した同じ選択肢から選択することができる。

0028

本発明を説明するため、第1の実施形態の具体例を下記に示す(式中、Pは顔料を表す)。

化学式1

0029

本発明を説明するため、第2の実施形態の具体例を下記に示す(式中、Pは顔料を表す)。

化学式2

0030

本発明を説明するため、第3の実施形態の具体例を下記に示す(式中、Pは顔料を表す)。

化学式3

0031

本発明の実施形態を下記により詳細に記載する。一般に、自己分散型顔料の製造方法は顔料の原料を選択することから始まる。

0032


磁性金属は何と呼ばれる?

顔料
本発明にしたがって表面改質することのできる顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、チオインディゴ顔料、トリフェニルメタンレーキ顔料、およびオキサジンレーキ顔料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。具体的には、黄色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、16、17、65、74、83、97、138、150、151および155が挙げられる。赤色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、37、38、41、48、49、50、51、52、57、58、60、64、83、88、89、90、112、114、122、123、166、188、202、C.I.ピグメントバイオレット19および23が挙げら� �る。青色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:3、15:4、16、25および75が挙げられる。緑色の色調を有するものは、例えば、C.I.ピグメントグリーン7および36が挙げられる。黒色の色調を有するものとしては、例えば、C.I.ピグメントブラック1および7が挙げられる。市販されている着色顔料としては、例えばピグメントレッド122およびピグメントバイオレット19(Lansco Colors, Montvale, NJ、またはBASF Color, Charlotte, NC、またはClariant Colors, Charlotte, NC、またはSun Chemical, Cincinnati, OHから販売されているもの)、ピグメントブルー15:1(Fanwood Chemical, Fanwood, NJから販売されているもの)、ピグメントブルー15:3、ピグメント15:4、ピグメントイエロー74およびピグメントイエロー97(BASF Color, Charlotte, NC、またはClariant Colors, Charlotte, NC、またはSun Chemical, Cincinnati, OHから販売されているもの)が挙げられる。

0033

また、好適な顔料としてはカーボンブラックも挙げられる。カーボンブラックは、天然ガス、ならびにコールタール由来の芳香族油、鉱油、コールタール蒸留物およびアセチレンなどの炭化水素の熱分解または不完全燃焼から誘導される炭素粒子に関する総称である。現在、それぞれがその独自の特徴および特性の特質的集合を有する100を超える個別のグレードのカーボンブラックを市場において入手することができる。任意の酸性カーボンブラック、中性カーボンブラックおよびアルカリ性カーボンブラックを、本発明で開示の処理に有効に供することができる。これには、チャンネルブラック、ガスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックおよびファーネスブラックが挙げられる。より詳しくは、好適なカ� ��ボンブラックとしては、チャンネルブラックが挙げられる。用いるカーボンブラックの品質は、平均粒径、不透明度、色合い、安定性等の分散液の重要な特性に影響を与える。市販されているカーボンブラックの例としては、Cabotから販売されているもの(Elftex 8、Black Pearls(登録商標) 490、Black Pearls (登録商標) 120、Monarch (登録商標) 120、Monarch (登録商標) 700、Monarch (登録商標) 880、Monarch (登録商標) 1000、Monarch (登録商標) 1100、Monarch (登録商標) 1300、Monarch (登録商標) 1400、Mogul (登録商標) L、Regal(登録商標) 99R、Regal (登録商標) 250R、Regal (登録商標) 300R、Regal (登録商標) 330R、Regal (登録商標) 400R、Regal (登録商標) 500R、Regal (登録商標) 660R)、Degussaから販売されているもの(NIPex (登録商標) 150IQ、NIPex (登録商標) 150、Printex (登録商標) 55、Printex (登録商標) 80、Printex (登録商標) 90、Printex (登録商標) A、Printex (登録商標) G、Printex (登録商標) U、Printex (登録商標) V、Printex (登録商標) 140U、Printex (登録商標) 140V、Purex (登録商標) LS35、Corax (登録商標) HP160、Thermal Black N990、NIPex (登録商標) 160IQ、NIPex (登録商標) 90、Special black 4、Special black 4A、Special black 5、Special black 6、Special black 100、Special black 250、Color black FW1、Color black FW2、Color black FW2V、Color black FW18、Color black FW200、Color black S150、Color black S160、およびColor black S170)、Columbianから販売されているもの(Raven (登録商標) 780、Raven (登録商標) 5000UII、Raven (登録商標) 1255、Raven (登録商標) 2500U、Raven (登録商標) 3600U、Raven (登録商標) 3500、Raven (登録商標) 7000、Raven (登録商標) 1220、およびRaven (登録商標) 1225)、およびMitsubishi Kagaku K.K.から販売されているもの(MA8、MA11、MA77、MA100、MA220、MA230、MA600、MCF88、#10B、#20B、#30、#33、#40、#44、#45、#45L、#50、#55、#95、#260、#900、970#、#1000、#2200B、#2300、#2350、#2400B、#2650、#2700、#4000B、およびCF9)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0034

顔料は様々な粒径で入手できる。一般に、粒径がより小さくなると表面積がより大きくなり、また、表面積が大きくなると親水性表面基の濃度がより高くなる可能性がある。これにより最終的には水性媒体中でのカーボンブラックの分散性が高まる。したがって、粒径は表面改質顔料の分散性に影響を与える可能性がある。例えば、本発明におけるカーボンブラックの平均一次粒径は、約50nm未満、特に約30nm未満、特に20nm未満、とりわけ約10nm未満であってもよい。カーボンブラック粒子の凝集体は、約200nm未満、特に約150nm未満、とりわけ約100nm未満であってもよい。カーボンブラック粒子の表面積は、約100m2/gより大きく、特に約150m2/gより大きく、とりわけ約200m2/gより大きくてもよい。より大きな寸法を有するカー ボンブラック粒子は、当業者に公知の技術をいくつでも用いて、表面改質の前に、またはその間に所望の寸法に粉砕することができる。かかる技術としては、ボールミル、摩砕器、フロージェットミキサー、インペラーミル、コロイダルミル、およびサンドミル(例えば、「Super Mill」、「Agitator Mill」、「Dyno-mill」、または「Beads Mill」の商標名で市販されているもの)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ミル媒体としては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、およびステンレススチールビーズを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ミル媒体は、約0.1mm〜約3mm、より詳しくは約0.01mm〜約5mmの寸法範囲の粒子を含んでいてもよい。カーボンブラックが容易に粉砕される場合には、ロータリーホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザーを用いて粒径を小さくすることができる。一実施形態においては、表面改質黒色顔料は、約30nm未満の径の一次粒子と約200nm以下の凝集体から構成されており、約100m2/gより大きな表面積を有する市販グレードのカーボンブラック顔料から製造される。

0035

自己分散型顔料を製造する前に、顔料を硝酸、オゾン、過酸化水素、過硫酸塩、次亜ハロゲン酸塩(hypohalite)またはそれらの組み合わせなどの酸化剤で酸化してもよいし、酸化しなくてもよい。次亜塩素酸ナトリウムを使用するカーボンブラックの水性酸化は、1948年4月13日に発行の米国特許第2,439,442号、および1967年10月17日に発行の米国特許第3,347,632号(これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れるものとする)に開示されている。顔料を酸化した後、次いで、本発明の方法を使用して、式X-S-ZMの化合物を顔料表面に結合させ、新しく導入された表面電荷基を完全なものにする。

0036

場合によっては、自己分散型顔料を製造する前に、顔料を湿らせ、粉砕助剤を用いてナノサイズ粒子まで粉砕し分散させることができる。顔料は、粉砕助剤を用いて粉砕する前に、粉末形態または湿潤ケーキ形態としてもよい。粉砕は、置換中間体との反応の前、途中、または後に行うことができる。結合反応の完了後、粉砕助剤は当業者に公知の精製法を用いて除去し、改質顔料および水を主として含有する分散液を形成させる。粉砕助剤の例としては、これらに限定されるものではないが、Triton X-100 (Ashland Inc., Dublin, OHから販売されているもの)、Igepal CA-630 (Rhodia, Cranbury, NJから販売されているもの)、ならびにSurfynol CT 121、131および141 (Air Products, Allentown, PAから販売されているもの)などを挙げることができる。

0037

第1の実施形態の一例では、塩化スルホニルを含む反応性化合物は、クロロスルホン酸を用いたクロロスルホン化によって、カーボンブラックなどの顔料に結合される。酸強度、反応温度および時間の組み合わせによって、どれだけのスルホニル基が顔料表面に結合されるかが決まる。一実施形態では、クロロスルホン化は、カーボンブラック重量の5倍のクロロスルホン酸量で行なわれる。

0038

また、クロロスルホン化をクロロスルホン酸および塩化チオニルの混合物を用いて行い、in situ加水分解を防ぐこともできる。塩化チオニルの量を広範囲で変えて、加水分解の程度を調節するか、加水分解を完全に防止することができる。一実施形態では、クロロスルホン化は、348gのクロロスルホン酸と30gの塩化チオニルで行なわれる。

0039

顔料と酸との比(重量基準)は、主として、混合、転移の容易性、およびコストなどの操作効率に応じて決定される。顔料のクロロスルホン化は、過剰量のクロロスルホン酸を使用することにより、追加溶媒のない状態で行うことができる。酸の顔料に対する最小比が約5である場合、反応全体にわたり、良好な混合を提供するのに非常に適している。大過剰量(例えば、比が約20)の場合、有意な効果が得られないばかりか、物質および取り扱いの両方のコストが高くなる。一実施形態では、クロロスルホン酸は、約5倍過剰(w/w)で用いられる。別の実施形態では、顔料とクロロスルホン化剤の比は少なくとも約4:1(w/w)である。また別の実施形態では、顔料とクロロスルホン化剤の比は約1:20〜約1:1(w/w)である。さらなる実施形態では、クロロ スルホン化剤は、クロロスルホン酸と塩化チオニルが約3:1〜約6:1(w/w)の比率の混合物であってもよい。

0040

顔料のクロロスルホン化は、昇温温度において、約2日以下の期間で行う。クロロスルホン化中の反応温度は、少なくとも約140℃、特に少なくとも約130℃、とりわけ少なくとも約120℃であってもよい。さらに、クロロスルホン化中の反応温度は、約60℃以下、特に約90℃以下、とりわけ約120℃以下であってもよい。これは、クロロスルホン化中の反応温度が約120℃〜約130℃、さらに詳しくは約140℃以下である実施形態を包含する。別の実施形態では、クロロスルホン化中の反応温度は約25℃〜約160℃である。一般に、温度が高くなると、顔料表面上のスルホニル基の所望濃度を達成するために必要な反応時間が短くなる。例えば、140℃の反応温度における所望のクロロスルホン化は約6時間かかる可能性があるが、これに対して80℃における同等 程度のクロロスルホン化は72時間を超える時間がかかると考えられる。一部の実施形態においては、反応時間は、少なくとも約2時間、他の場合においては少なくとも約6時間、さらに他の場合においては少なくとも約24時間であってもよい。他の実施形態においては、反応時間は、約48時間以下、他の場合においては約24時間以下、さらに他の場合においては約6時間以下であってよい。これは、反応時間が約1時間〜約48時間である実施形態を包含する。クロロスルホン化中は、反応容器の内容物を撹拌して適度な混合を確保する。

0041

クロロスルホン化の後、反応混合物を水中でクエンチすることができる。一部の実施形態においては、クエンチする前に、反応混合物を約20℃未満の温度、他の場合においてはクエンチする前に約60℃未満の温度、さらに他の場合においてはクエンチする前に約90℃未満の温度に冷却することができる。これは、クエンチする前に反応混合物を約20℃〜約90℃の温度に冷却する実施形態を包含する。反応混合物が加えられる水は、例えば、氷、冷却装置またはこれらの組み合わせを用いて、約10℃の温度またはそれ以下にすることができる。一実施形態では、クエンチ温度を約0℃〜約5℃で維持し、反応性塩化スルホニル中間体を保つことができる。湿潤ケーキと呼ばれるクロロスルホン化生成物は、濾過および洗浄して過剰量の反応物質およ� �水溶性生成物を除去することによって、水から単離することができる。これは5℃未満の水で洗浄することができる。

0042

次いで、顔料反応性中間体は、酸に戻ろうとする加水分解を防ぐ有機基を含む少なくとも1種の第2の化合物で置換される。一実施形態では、顔料反応性中間体は、直ちに、第2の化合物との反応に用いることができる。例えば、反応性塩化スルホニル基を有するカーボンブラックを、アミノ末端および酸性末端基を含有する有機化合物と直ちに反応させることができる。有機基を含む第2の化合物は、顔料の所望する最終用途により選択することができる。

0043

顔料反応性中間体は、酸性pH(約2〜約5)の領域で、第2の化合物と反応させることができる。酸性のpH領域は、反応性化合物の安定性を高め、加水分解および自己縮合などの望ましくない反応の程度を減少させる。本反応性化合物は、アミノフェノールが有機基として用いられる場合であっても、第一級アミンなどの塩基と優先的に反応する。この反応は、当業者には周知の反応条件(例えば、pH、温度および稀釈)の適切な選択により、主としてアミノ末端に向けることができる。例えば、pHは約2〜約5であってもよく、温度は約0℃〜約5℃であってもよい。別の実施形態では、顔料反応性中間体を第2の化合物と反応させている間、顔料の粒径をビーズミル中で反応を行なうことにより小さくすることができる。第2の化合物の腐食性のため、強酸� ��よび強塩基に強い適切な構成材料を選択して生成物への金属浸出を防ぐことができる。

0044

顔料反応性中間体と第2の化合物の反応は、約2時間〜約4時間の間、混合しながら行うことができる。一実施形態では、この反応は、混合物を約60℃〜約90℃の高い温度に加熱することにより強制的に完了させることができる。

0045

第1の実施形態の別の例は、これらに限定されるものではないが、反応基X-Yを顔料の表面に結合させるステップ;および、次いで、Yを有機基質N-S-ZMで置換し、X-N-S-ZM(式中、Xはスルホニル、ホスホリルまたは1,3,5-トリアジニル基であり;Yはハロゲン脱離基であり;Nは塩基性求核基であり;Sは有機基であり;ZMはイオン化可能な末端基である)が結合した表面改質顔料を形成させるステップを含み得る、表面を有する顔料の改質方法を包含していてもよい。顔料表面の大部分を改質して液体ゲルを形成させることができる。次いで、この液体ゲルを過剰量の未処理顔料および水と粉砕し、安定な水性顔料分散液を形成させることができる。大部分の顔料表面を改質する一例としては、これらに限定されるものではないが、少なくとも約1時間� �少なくとも約90℃の温度で顔料をクロロスルホン化し、クロロスルホン化顔料(すなわち、顔料塩化スルホニル)を形成させることを包含する。

0046

第2の実施形態の一例では、シアヌリル基を含む反応性化合物を、有機基を含む第2の化合物で置換する。次いで、置換反応性中間体-X-S-ZMを、塩化シアヌルを使用して、カーボンブラックなどの顔料に結合させる。pH、反応温度および時間の組み合わせにより、どれだけの基が顔料の表面に結合されているかが決まる。一実施形態では、この反応は、炭素120g当たり52gの塩化シアヌルで行なわれる。別の実施形態では、この反応は、炭素40g当たり15gの塩化シアヌルで行なわれる。

0047

一部の実施形態では、有機基、塩化シアヌル、水、氷および塩基を含む第2の化合物のスラリーが作製される。有機基を含む第2の化合物は、顔料の所望する最終用途により選択することができる。

0048

第3の実施形態の一例では、シアヌリル基を含む反応性化合物は、同一であっても異なっていてもよい、2個の有機基を含む第2の化合物で置換される。次いで、2つの置換反応性中間体X-S-ZMおよびX-S2-Z2M2は、塩化シアヌルを使用することにより、カーボンブラックなどの顔料に結合される。pH、反応温度および時間の組み合わせによって、どれだけの基が顔料の表面へ結合されるかが決まる。この方法は、有機基、塩化シアヌル、水、氷および塩基を含む第2の化合物のスラリーと最初に反応させることにより、連続して行うことができる。有機基、塩化シアヌル、水、氷、酸および塩基を含む、異なる第2の化合物の第2のスラリーを用いて、その系を完成させる。

0049

塩化シアヌルと第2の化合物の比は一般的には化学量論比によって決定され、その濃度を調節して良好に混合させる。塩化シアヌルと第2の化合物の反応は、約2時間〜約4時間の間、混合しながら行うことができる。

0050

第4の実施形態の例では、塩化シアヌル中の全反応性塩素を、顔料と反応させる前に、第2の化合物または第2の化合物の混合物で化学量論比(3つのすべての塩素を置換するには3当量)および温度(約90℃よりも高い温度)を操作することにより置換させる。この反応で置換トリアジンが形成され、この置換トリアジンは顔料の表面に結合することができる。第2の化合物の混合物は、1、2または3つの異なる第2の化合物を含んでいてもよい。こうした例では、過硫酸塩成分などの反応開始剤を用いて、結合プロセスに影響を及ぼしたり、促進させたりする。一部の実施形態では、反応は約25℃〜約90℃の温度で行なうことができる。別の実施形態では、顔料を置換トリアジンと反応させる前、途中、または後に、顔料を約100nm未満に粉砕してもよい。

0051

顔料をこの「試薬」と混合して、分散液を生成する。異なる第2の化合物を含む2つのスラリーがある場合の実施形態では、顔料を連続的にスラリーと混合させる。分散液の温度は、約1時間〜約2時間の間、約0℃〜約15℃で維持することができる。次いで、反応性化合物(例えば置換トリアジン)分散液および顔料の混合物は、約2日以内の間、加熱して昇温される。過硫酸カリウムなどのフリーラジカル開始剤を添加して、反応を促進させることができる。反応温度は少なくとも約40℃、特に少なくとも約50℃、とりわけ少なくとも約60℃であってもよい。その上、この反応温度は約90℃以下、特に約80℃以下、とりわけ約60℃以下であってもよい。これは、反応温度が約50℃〜約60℃、とりわけ90℃以下である場合の実施形態を包含する。一般に、フ リーラジカル開始剤が効果的であるためには、50℃以上の温度が必要である。これは、反応時間が約16時間〜24時間である実施形態を包含する。反応槽の内容物は、反応の間、撹拌して、適切な混合を確実にする。改質顔料は、濾過し、過剰の反応物質および不純物を除去することができる。

0052

一実施形態では、反応性化合物(例えば塩化シアヌル)は、酸性pH域(約2〜約5)で第2の化合物と反応させる。酸性pH域は、反応性化合物の安定性を高め、加水分解および自己縮合などの望ましくない反応の程度を減少させる。本反応性化合物は、アミノフェノールが有機基として用いられる場合であっても、第一級アミンなどの塩基と優先的に反応する。この反応は、当業者には周知である反応条件(例えば、pH、温度および稀釈)の適切な選択により、主としてアミノ末端に向けることができる。例えば、pHは約2〜約5であってもよく、温度は約0℃〜約5℃であってもよい。

0053

場合によっては、顔料を基-X-S-ZMと反応させている間、顔料の粒径をビーズミル中で反応を行なうことにより小さくすることができる。第2の化合物の腐食性のため、強酸および強塩基に強い適切な構成材料を選択して生成物への金属浸出を防ぐことができる。

0054

酸誘導体を含む反応性化合物または第2の基と顔料とを反応させることにより、酸性表面基が生成され得るが、これにより反応混合物のpHが低下する場合がある。pHが低下すると、置換中に改質顔料分散液または反応性化合物および第2の化合物のスラリーの不安定化を招くことがあり、また粘度を上昇させる可能性もある。したがって、必要に応じて、置換の前または途中に塩基性試薬を用いてpHを調節してもよい。置換中の反応混合物のpHは約7以上であってもよく、特に約8以上、とりわけ約9以上であってもよい。pHは、例えば、塩基を添加するなど、当該技術において公知の任意の方法によって調節することができる。好適な塩基としては、これらに限定されるものではないが、アルカリ水酸化物およびカルシウムフリーアルカリ水酸化物� ��例えば、NaOH、KOH、LiOH、NH4OH)、アルカリ炭酸塩および重炭酸塩(例えば、NaHCO3、KHCO3)、ならびに有機塩基(例えば、ジメチルエタノールアミンおよびトリエタノールアミン)を挙げることができる。特に、好適なpH調節剤は、カルシウムフリー水酸化ナトリウムを含む。

0055

表面改質顔料
上記反応の完了後、自己分散型顔料は、乾燥粉末として反応混合物から単離することができる。得られた改質顔料は、当業者に公知の様々な技術を用いて精製し、未反応の原材料、副生成物の塩、および他の反応不純物を除去することができる。精製法としては、濾過法、遠心分離法、またはこの2つの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、改質顔料は、例えば蒸発によって単離することもでき、あるいは当業者に公知の技術を用いて、濾過および乾燥により回収することができる。

0056

あるいは、自己分散型顔料は、濃縮水性顔料分散液として提供することができる。本発明の自己分散型顔料の分散液は、精製して、有機および無機の不純物、ならびに製造工程の結果として分散液中に共存している可能性のある他の望ましくない遊離種を除去することができる。精製法としては、水洗浄、逆浸透および限外濾過を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態においては、溶解不純物は、10%固形分に調節した供給試料の塩化物含量および硫酸塩含量が約150ppm未満、特に約100ppm未満、とりわけ約25ppm未満になるまで、限外濾過により除去することができる。必要な場合には、精製前に、分散液のpHを調節することができる。十分な量の酸または塩基を加えて、分散液のpHを少なくとも約7、特に少� ��くとも約8、とりわけ少なくとも約9に調節することができる。これは、分散液のpHが約7〜約9である実施形態を包含する。分散液は、所望により、一部の水を除去することにより濃縮することができる。一部の実施形態においては、分散液を、少なくとも約8%固形分、他の場合には少なくとも約14%固形分、さらに他の場合には少なくとも約20%固形分に濃縮する。これは、分散液を約8%〜約16%の固形分に濃縮する実施形態を包含する。他の実施形態では、分散液を、少なくとも約10%固形分、他の場合には少なくとも約18%固形分、さらに他の場合には少なくとも約20%固形分に濃縮する。これは、分散液を約14%〜約8%固形分に濃縮する実施形態を包含する。

0057


合金とは何かの説明

また、分散液に殺菌剤を加えて微生物の成長を抑制することもできる。好適な殺菌剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンズイソチアゾリノン、1,2-ジベンゾチアゾリン-3-オン、メチルイソチアゾリノン、およびクロロメチルイソチアゾリノンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販されている殺菌剤としては、Proxel (登録商標) CRL、Proxel (登録商標) BDN、Proxel (登録商標) GXL、Proxel (登録商標) XL-2、およびProxel (登録商標) TN(Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)、ならびにXBINX (登録商標)(PMC Specialties Group, Inc., Cincinnati, Ohioから販売されているもの)が挙げられる。一般的には、少量の、例えば0.05〜5%、特に0.1〜1%、とりわけ特に0.2〜0.4重量%の殺菌剤を分散剤中に使用する。これは、0.3重量%の殺菌剤を包含する。

0058

流動性および安定性を付与するための薬剤もまた分散剤に加えることができる。こうした薬剤の例は、米国特許第5,059,248号(1991年10月22日出願)、米国特許第5,591,455号(1997年1月7日出願)、および米国特許第5,595,592号(1997年1月21日出願)(これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み入れるものとする)で確認することができる。具体例としては、これらに限定されるものではないが、直鎖状の脂肪族置換グリシン化合物およびその塩が挙げられる。本明細書では、「直鎖状の脂肪族置換グリシン」という用語は、グリシンのアミノ基が直鎖状の脂肪族基で置換されているグリシン化合物を意味する。本発明の実施で使用可能なこのタイプの薬剤の例は、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロ� ��シエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、イミノ二酢酸およびエタノールジグリシン、ならびにそれらのアルカリ金属(例えばナトリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩、およびアンモニウム塩である。当業者に公知の他の同様な直鎖状の脂肪族置換グリシン化合物およびそれらの塩も使用することができる。一部の実施形態では、前述のエチレンジアミン四酢酸の塩が、それらの有効性、コスト的効果および非毒性により用いられる。一部の実施形態では、これらの薬剤は、分散剤組成物中の顔料の約0.5〜3.5重量%、好ましくは約1.5〜2.5重量%を構成していてもよい。

0059

分散液は、分散液の所定の最終用途に関する必要性に応じて、フィルターカートリッジを通して濾過することができる。一部の実施形態においては、フィルターカートリッジの公称孔径は、約5ミクロン以下、特に約1ミクロン以下、特に約0.5ミクロン以下、とりわけ約0.2ミクロン以下である。

0060

自己分散型顔料は、粉末および分散液に加えて、水湿プレスケーキ(water wet presscake)として単離することもできる。プレスケーキ形態においては、自己分散型顔料は乾燥形態におけるほどには凝集しておらず、したがって、この自己分散型顔料は、例えばインク製造で使用する際に多量の解凝集助剤(deagglomeration)を必要としない。

0061

所望の場合には、結合/置換プロセスの結果として表面改質基に伴っている電荷平衡対イオンを、適切な塩基または塩形態の使用により少なくとも部分的に置換または変化させてもよく、あるいは、限外濾過、逆浸透、中間体としての酸形態への転化などの公知のイオン交換法を用いて、他の好適なカチオンで交換または置換することができる。対イオンの例としては、これらに限定されるものではないが、アルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+およびLi+)、NR1R2R3H+、およびそれらの組み合わせ(式中、R1、R2およびR3は、独立して、HまたはC1-C5 アルキル基(これは非置換であっても置換されていてもよい)であってもよい)が挙げられ、例えばテトラエチルアンモニウムイオン(TEA)、テトラメチルアンモニウムイオン(TMA)、エタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどである。

0062

改質顔料の特性
本自己分散型顔料は、スルホン酸基またはカルボン酸基が結合した顔料粒子で予測されるものよりも、長時間高温安定性、耐水性および耐ハイライター性(highlighter fastness)の少なくとも1つを示し、また、ハイスピードの噴射用途での使用に適した粒度分布を有し得る。

0063

本自己分散型顔料は、以下の特性を有することができる。改質顔料中の固形分%は、約8〜16であってもよい。

0064

改質顔料分散液のpHは、約5〜約10であってもよい。

0065

改質顔料分散液の粘度は、約1〜約10cps、特に約1.3〜約7.6cpsであってもよい。

0066

改質顔料分散液の表面張力は、約39〜約72 dynes/cmであってもよい。

0067

改質顔料分散液中のNaおよびKの量は、新しく結合されたアニオン性基質の目安となり得る(Na/K形態としてのスルファニル酸または4-アミノフェノール酸または4-アミノ安息香酸)。Naの量は約100〜約6500ppmであってもよく、Kの量は約30〜約1200ppmであってもよい。

0068

改質顔料分散液中のS含有量の増加は、スルホニル基の導入および/またはスルホン化基質(例えばスルファニル酸、ただしこれに限定されるものではない)の結合による可能性がある。改質顔料中のS含有量は、約50ppm〜約2600ppmであってもよい。一実施形態では、改質顔料中のSの含有量は、4-アミノ安息香酸および4-アミノフェノールの結合に関して約50ppmであってもよい。別の実施形態では、スルファニル酸がスルホン結合により顔料に結合されている場合、改質顔料中のSの含有量は約1700ppmであってもよい。

0069

改質顔料の用途
本発明による自己分散型顔料は、数多くの最終使用用途において用いることができる。これらの用途としては、被覆剤、塗料、紙、接着剤、ラテックス、トナー、布地、繊維、プラスチック、およびインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的な例としては、これらに限定されるものではないが、紙、布地、繊維、金属修飾およびプラスチック用の印刷インク、ウッドステイン、筆記用具およびカラーフィルターなどが挙げられる。本発明の方法により生産される自己分散型顔料は、印刷用途およびウッドステインにおける使用に特に好適である。一実施例では、本発明の顔料を加えるインクジェットインクは、インクジェットフォトプリンタでの高品質印刷において役立ち得る。

0070

本発明の一態様は、上記の自己分散型顔料を使用するインクジェットインク製剤に関する。こうした顔料を含有するインクジェット製剤は、下記の少なくとも1つを行うことができる:
1) 印刷媒体上に高解像度および高密度の均一でブリードのない画像を提供する;
2) ノズルの先端でのインク乾燥によって起こる典型的なノズルの目詰まりを起こさない;
3) 紙の上で速やかに乾燥する;
4) 良好な耐光性および耐水性を示す;
5) 良好な長期間保存安定性を示す;
6) 紙の品質に関係のない印刷特性を示す。

0071

本発明のインク組成物は、上記の改質顔料を水性ビヒクルおよび任意の好適な添加剤と組み合わせることにより製造することができる。インク組成物中の改質顔料の量(重量基準)は、少なくとも約0.1%、特に少なくとも約10%、とりわけ少なくとも約20%である。さらに、インク組成物中の改質顔料の量(重量基準)は、約12%以下、特に約8%以下、とりわけ約5%以下である。これは、インク組成物中の改質顔料の量(重量基準)が、約2%〜約12%の範囲の量で存在する実施形態を包含する。

0072

水性ビヒクルは、水、または1種もしくは複数の水溶性有機溶媒と組み合わせた水を含んでいてもよい。水溶性有機溶媒は、水と組み合わせて水性ビヒクルを形成することができる。水溶性有機溶媒としては、アルコール類、多価アルコール類、例えばエチレングリコール、ケトン類およびケトンアルコール類、例えばアセトンおよびジアセトンアルコール、エーテル類、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサン、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチル(またはモノエチル)エーテル、窒素含有溶媒、例えばピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、硫黄含有溶媒、例えばチオジエタノール、糖類およびその誘導体、例えばグルコース、グリセリンのオキシエチレン付加物;ならびにジグリセリンの� �キシエチレン付加物が挙げられる。水溶性有機溶媒は、単独であっても、組み合わせても用いることができる。水および水溶性有機溶媒の混合物を用いる場合には、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)は、少なくとも約5%、特に少なくとも約15%、とりわけ少なくとも約25%である。さらに、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)は、約50%以下、特に約30%以下、とりわけ約15%以下である。これは、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)が、約5%〜約30%である実施形態を包含する。インク組成物中の水の量は、少なくとも約40%、特に少なくとも約50%、とりわけ少なくとも約60%である。さらに、インク組成物中の水の量は、約90%以下、特に約80%以下、とりわけ約70%以下である。これは、� ��ンク組成物中の水の量が約40%〜約80%である実施形態を包含する。

0073

添加剤は、水性ビヒクル中に含ませて、特定のインクジェットプリンターの要求にインクを適合させるのに必要とされるような、様々な所望の特性を付与するか、あるいは、光安定性、耐スミア性、粘度、表面張力、被覆浸透性、光学濃度、接着力、耐ハイライター性、または耐クラスト性のバランスを提供することができる。例えば、浸透剤を加えて、ブリードを減少し、印刷媒体の湿潤を改良し、あるいは印刷画像の全体的性能を向上させることができる。浸透剤の例としては、これらに限定されるものではないが、1〜4個の炭素原子を有するアルキルアルコール類、例えばエタノール、グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、ジオール類、例えば1,2-アルキルジオール、ホルムアミド、アセトアミド、� ��メチルスルホキシド、ソルビトールおよびスルホランが挙げられる。浸透剤は、単独でも、または組み合わせても用いることができる。インク組成物中の浸透剤の量(重量基準)は、0%〜約60%、特に約2%〜約40%、とりわけ約5%〜約20%の範囲である。これは、インク組成物中の浸透剤の量(重量基準)が約10%〜約15%の範囲の量で存在する実施形態を包含する。

0074

界面活性剤を水性媒体に加えて、インク組成物の表面張力を減少させることができる。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および/またはカチオン性界面活性剤であってもよい。好適な界面活性剤としては、下記に記載のもの、ならびに、米国特許第5,116,409号(1992年5月26日出願)、米国特許第5,861,447号(1999年1月19日出願)、および米国特許第6,849,111号(2005年2月1日出願)(これらはそれぞれ、参照により本明細書中に組み入れるものとする)に列記されているものを挙げることができる。

0075

界面活性剤は、各種の周知の商標名で市販されており、例えば、ごく一部であるが、PLURONIC (登録商標) シリーズ (BASF Corporation, Parsippany, N.J.)、TETRONIC (登録商標) シリーズ (BASF Corporation, Parsippany, N.J.)、ARQUAD (登録商標) シリーズ (Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill.)、TRITON (登録商標) シリーズ (Union Carbide Corp., Danbury, Conn.)、SURFONIC (登録商標) シリーズ (Texaco Chemical Company, Houston, Tex.)、ETHOQUAD (登録商標) シリーズ (Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill.)、ARMEEN (登録商標) シリーズ (Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill.)、ICONOL (登録商標) シリーズ (BASF Corporation, Parsippany, N.J.)、SURFYNOL (登録商標) シリーズ (Air Products and Chemicals, Inc. Allentown, Pa.)、およびETHOMEEN (登録商標) シリーズ (Akzo Chemical Inc., Chicago, Ill.)がある。

0076

界面活性剤は、単独であっても組み合わせても使用することができる。インク組成物中の界面活性剤の量(重量基準)は、0%〜約10%、特に約0.1%〜約10%、とりわけ約0.3〜約5%の範囲であってもよい。これは、インク組成物中の界面活性剤の量(重量基準)が約0.1%〜約8%の範囲であってもよい実施形態を包含する。

0077

1種または複数の湿潤剤を水性ビヒクルに加えて、待ち時間中の乾燥によって生じるインクジェットノズルの目詰まりを防止することができる。湿潤剤は、高吸湿性および高水溶性を有する物質から選択することができる。湿潤剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリオール類、例えばグリセロール、ラクタム類、例えば2-ピロリドン、尿素化合物、例えば尿素、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、糖類、例えばソルビトール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1-メチル-2-ピペリドン、N-エチルアセトアミド、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、炭酸エチレン;ブチロールアセトンおよびLiponic EG-1が挙げられる。湿潤剤の使用量に関しては、特に制限はないが、一般に、インク組成物中の湿潤剤の量(重量基準)は0%〜約30%、特に約1%〜約15%、とりわけ約5%〜約10%の範囲であってもよい。

0078

ポリマーをインク組成物に加えて、印刷媒体上での画像の耐水性、耐摩擦性、および耐ハイライター性を向上させることができる。好適なポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン-アクリル酸コポリマー、スチレン-マレイン酸コポリマー、スチレン-マレイン酸-アルキルアクリレートコポリマー、スチレン-メタクリル酸コポリマー、スチレン-メタクリル酸-アルキルアクリレートコポリマー、スチレン-マレイン酸半エステルコポリマー、ビニル-ナフタレン-アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン-マレイン酸コポリマーおよびそれら塩を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。インク組成物中のポリマーの量(重量基準)は0%〜約5%、特に約0.1%〜約3%、とりわ� �約0.2%〜約2.5%の範囲であってもよい。これは、インク組成物中のポリマーの量(重量基準)が約0.1%〜約3.0%の範囲であってもよい実施形態を包含する。

0079

本発明のインク組成物は、数多くのpH調整剤を用いて所望のpHに緩衝することができる。好適なpH調整剤としては、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩および重炭酸塩、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、鉱酸、塩酸、ならびに硫酸を挙げることができる。pH調整剤は、単独であっても組み合わせても使用することができる。インク組成物中のpH調節剤の量(重量基準)は0%〜約3.0%、特に約0.1%〜約2.0%、とりわけ約0.5%〜約1.5%の範囲であってもよい。これは、インク組成物中のpH調節剤の量(重量基準)が約0.2%〜約2.5%の範囲である実施形態を包含する。

0080

殺菌剤(biocide)および殺真菌剤(fungicide)などの防腐剤もインク組成物に加えることができる。好適な防腐剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ベンズイソチアゾリノン、1,2-ジベンゾチアゾリン-3-オン、メチルイソチアゾリノン、およびクロロメチルイソチアゾリノンが挙げられる。市販の殺菌剤としては、UCARCIDE (登録商標) 250(Union Carbide Companyから販売されているもの)、Proxel(登録商標) CRL、Proxel (登録商標) BDN、Proxel (登録商標) GXL、Proxel (登録商標) XL-2、Proxel (登録商標) TN(Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)、Dowicides(登録商標)(Dow Chemical, Midland, Mich)、Nuosept(登録商標)(Huls America, Inc., Piscataway, NJ)、Omidines(登録商標)(Olin Corp., Cheshire, Conn)、Nopcocides(登録商標)(Henkel Corp., Ambler, Pa)、Troysans(登録商標)(Troy Chemical Corp., Newark, NJ)、およびXBINX(登録商標)(PMC Specialties Group, Inc., Cincinnati, Ohio)が挙げられる。防腐剤は、単独であっても組み合わせても使用することができる。インク組成物中の防腐剤の量(重量基準)は0%〜約1.5%、特に約0.05%〜約1.0%、とりわけ約0.1%〜約0.3%の範囲であってもよい。これは、インク組成物中の防腐剤の量(重量基準)が約0.05%〜約0.5%の範囲であってもよい実施形態を包含する。

0081

インク組成物には1種または複数の粘度調整剤を含有させることができる。粘度調整剤としては、ロジン化合物、アルギン酸化合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸の塩、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、およびデンプンを挙げることができる。インク組成物中の粘度調整剤の量(重量基準)は0%〜約10%、特に約0.5%〜約8%、とりわけ約1%〜約5%の範囲であってもよい。これは、インク組成物中の粘度調整剤の量(重量基準)が約1%〜約7%の範囲であってもよい実施形態を包含する。

0082

また、水性ビヒクル中に含ませることができる他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、導電性調節剤、粘度調整剤、酸素吸収剤、コゲーション防止剤、カーリング防止剤、ブリード防止剤、消泡剤、および緩衝剤を挙げることもできる。本発明のインク組成物は、本発明の顔料分散液に加えて、1種または複数の着色剤を含有していてもよい。

0083

本発明のインク組成物は、インク組成物の液滴を印刷装置から噴射して基材上に堆積させて画像を形成するインクジェット印刷用のインク組成物として用いるのに特に適している。好適な印刷装置としては、コンティニュアスインクジェット(Continuous Ink Jet (CIJ))、ドロップオンデマンドバルブ(Drop-on-Demand Valve (DoD Valve))、圧電ドロップオンデマンド(Drop-on-Demand Piezo-Electric (DoD Piezo))、およびサーマルインクジェット(Thermal Ink Jet (TIJ))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。同様に、普通紙、ボンド紙、コート紙、透明材料、織物材料、プラスチック、ポリマーフィルム、および無機基材をはじめとする任意の好適な基材を用いることができる。しかし、上記のインク組成物はまた、一般的な筆記用具用途およびスタンプ用途など(但しこれらに限定されるものではない)の他の分野においても用途を有する可能性があることは当業者には明らかなはずである。

0084

本発明のインク組成物は、単独であっても、下地色と共に用いて黒色の画像を形成するか、あるいは他のインク組成物と組み合わせて着色画像を形成するのにも使用することができる。一部の態様においては、本発明のインク組成物は、シアンインク、マゼンタインク、および/または黄色インクなどの他の1種または複数のインク組成物と組み合わせて用いる。別の態様においては、シアンインク、マゼンタインクおよび黄色インクを刷り重ねて黒色画像を形成し、この印刷を本発明の黒色インクの印刷と組み合わせて用いる。

0085

ウッドステイン
本発明の別の態様は、ウッドステインおよび被覆剤としての、上記の自己分散型顔料を使用する水性製剤に関する。こうした顔料を含有するウッドステインは、以下の特性の少なくとも1つを示すことができる:1) 良好な木材吸収および付着;2) 良好な透明度;3) 優れた耐水性および耐光性。

0086

耐水性は、浸漬領域と対照におけるウッドステインのDE*測定値の差によって計測する。DE*値が低くなれば、耐水性がより高いことを示すことができる。DE*が小さい場合、分解または喪失による色の変化が無いか最小であることを表すことができる。例えば、DE*値が低いと、カルボキシ改質顔料分散液で見られるような高耐水性を示すことができる。改質顔料分散液のDE*値は、約0〜約3となり得る。具体的な一例は、4-アミノ安息香酸で改質させた顔料である。別の実施例では、カルボキシ改質ピグメントブルー15およびピグメントイエローNo.74分散液は、それぞれ、約0.19および0.43といった、低いDE*値を有していた。デルタEは、2つの色調間の差である。L値、a値およびb値は、球面色に基づいて測定される。+L=白、-L=黒、+a=赤、-a=緑、+b=黄、-b=� ��。Cは色度(飽和)およびH=Hueである。記録は分光光度計を使用して測定する。デルタE = √(L1-L2)2 +(a1-a2)2 + (b1-b2)2

0087

被覆剤
こうした顔料を含有するコーティング剤は、以下の特性の少なくとも1つを示し得る:1) 金属、紙、ガラス、プラスチックおよび木材などの基材に対する良好な付着;2) 塗布および乾燥の容易性;3) 良好な耐候性、耐水性および耐光性;4) 良好な光沢保持率;5) 良好な耐薬品性および耐凝集性。

0088

耐水性と同様に、被覆剤の強酸および強塩基に対する耐性は、スポット部分と対照のDE*値の差として測定される。改質顔料分散液のDE*値は約0〜約3であってもよい。一実施例では、改質カーボンブラックを含有するコーティング剤は、酸耐性に関するDE*値が約0.08と低かった。別の実施例では、改質ピグメントブルーNo.15を含有するコーティング剤は、強塩基耐性に関するDE*値が約1.56と低かった。

0089

カラーフィルター
本発明の別の態様は、カラーフィルターにおける、上記自己分散型顔料を使用する水性製剤に関する。カラーフィルターは、これらに限定されるものではないが、デスクトップモニター/ラップトップスクリーン、LCDテレビスクリーン、携帯電話表示パネル、デジタルカメラスクリーン、およびGPSパネルといった、ディスプレイ画像分野での用途がある。本発明の顔料を含有するカラーフィルター製剤は、以下の特性の少なくとも1つを示し得る:1) ガラスおよびプラスチックフィルム基材への良好な付着;2) 良好な透明度;3) 塗布および乾燥の容易性;4) 良好な耐熱性および耐光性。

0090

特定のカラーフィルターの透過率を測定して、その有用性を決定する。カラーフィルターは狭帯域で最大透過率を有し、最高の有用性を提供することができる。

0091

一実施形態では、カーボンブラックは透過帯域を有していなくてもよく、マゼンタ顔料分散液は、約520〜約560nmの範囲に最小透過率を有していてもよく、イエロー顔料分散液は、約400〜約480nmの範囲に最小透過率を有していてもよく、シアン顔料分散液は、約600〜約680nmの範囲に最小透過率を有していてもよい。

0092


何は、アルミニウムの融点されてい

捺染
本発明の別の態様は、捺染用途における、上記自己分散型顔料を使用する水性製剤に関する。本発明の顔料を含有する捺染製剤は、以下の特性の少なくとも1つを示し得る:1) 織物(例えば、綿、ナイロン、ポリエステル、羊毛、ポリアクリル酸、またはそれらの混紡物)に対する良好な付着;2) 塗布および乾燥の容易性;3) 良好な耐水性および耐光性;4) 良好な洗濯堅牢度。

0093

染められた織物の耐洗浄性および耐水性は、対照織物と洗浄織物のDE*値における差によって測定することができる。

0094

改質顔料分散液のDE*値は約0〜約3となりうる。一実施例において、改質カーボンブラックは、約0.23の低いDE*値を有し得る。別の実施例において、改質ピグメントイエローNo.74は、約6.72の高いDE*値を有し得る。

0095

本発明の具体的な実施形態を以下の実施例で提供する。以下の実施例は、本発明を説明し、かつ本発明の製造および使用を行う当業者を補佐するために示すものである。これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。

0096

実施例1
顔料分散液 (クロロスルホン酸および塩化チオニルにおけるクロロスルホン化と、その後の小分子の結合を示す実施例)
一次粒径が20nmでB.E.T表面積が160m2/gである、市販のDegussa (Burr Ridge, IL)製のガスカーボンブラック(65g)を、実験用グレードのクロロスルホン酸332gで、20時間120〜4℃にてクロロスルホン化した。この反応混合物を56℃まで冷却し、68.5gの塩化チオニルを滴下添加した。全塩化チオニルを加えた後、反応生成物を103〜5℃に再度加熱し、4時間その温度を維持した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、クエンチ温度を-5℃未満に調節しながら、水および氷中でクエンチした。沈殿生成物を濾過により単離し、氷冷水(<5℃)で洗浄して溶解物質を除去した。次いで、2〜5℃で、15.5gの濃塩酸(37%)を含有する140g DI水中の4-アミノ安息香酸エチル(Aldrich製、実験用グレード、21.7g)の溶液と生成物ケーキ(253g)とを反応させた。30分間2000rpmで混合した後、次いで、Hockmeyer media mill (Hockmeyer Equipment Corp., Elizabeth City, North Carolinaから販売されているもの)中で、0.4mmのYTZ媒体(Quackenbush Co., Inc., Crystal Lake, Illinoisから販売されているもの)を使用して5000rpmでそれを粉砕して、20%の酢酸ナトリウム溶液の添加により温度を10℃に上昇させ、またpHを4.7にした。粉砕をさらに5時間続けた。粉砕開始から1時間後、その粉砕物へカルシウムフリー水酸化ナトリウム(23g)を添加することでpHが12.6まで上昇した。反応混合物を粉砕機から取り出し、85℃で2時間加熱してメチルエステルを加水分解した。供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を18%固形分まで濃縮し、(0.3%, wt/wt) Proxel GXL (Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)と混合した。最後に、この生成物を0.7ミクロンのGFフィルターを通して濾過した。

0097

実施例2〜9
実施例2〜9を、実施例1について上述した同じ方法により調製した。

0098

表1.反応性塩化スルホニル中間体を介した結合の実施例
1 Degussa (Burr Ridge, IL)
2 CIBA (Newport, DE)製のPB15:4
3 BASF (Mount Olive, NJ)製のPB15:3、0.7ミクロンTCLPによる濾過の前に、大型粒子は5分間10,000rpmの遠心分離により分離した。
4 Clariant Colors (Charlotte, NC)製のPB15:3

表1

0099

表1 続き

表2

0100

実施例の全体を通して、簡略化のため略語を用いる。「H」は時間を意味し、「AP」はアミノフェノールを意味し、「SA」はスルファニル酸を意味し、「4ABA」は4-アミノ安息香酸を意味する。

0101

実施例10
顔料分散液(結合を介した異なる塩形態の形成の実施例−テトラメチルアンモニウム塩の例)
一次粒径が20nmでB.E.T表面積が160m2/gのDegussa製の市販のガスカーボンブラック(66g)を、122〜7℃で19時間、348gの実験用グレードクロロスルホン酸でクロロスルホン化した。この反応混合物を74℃まで冷却し、30.0gの塩化チオニルを滴下添加した。全塩化チオニルを加えた後、反応生成物を134℃に再度加熱し、1時間その温度を維持した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、クエンチの温度を-5℃未満に調節しながら、水および氷中でクエンチした。沈殿生成物を濾過により単離し、氷冷水(<5℃)で洗浄して溶解物質を除去した。次いで、生成物ケーキ(326g)を氷冷DI水中で混合し、pH=1.5でスラリーを得た。このpHをまず水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(25%)で4.5まで上昇させた。さらにそのpHを、25℃で40.3gの水酸化テトラメチルアンモ� ��ウム溶液(25%)を含有する90g DI水中の4-アミノ安息香酸(Aldrich製、実験用グレード、18g)の溶液と8gのSurfynol CT-141 (Air Products & Chemicals, Inc., Allentown, PAから販売されているもの)とで6.5まで上昇させた。次いで、最終pH9.6まで、これを追加の水酸化テトラメチルアンモニウム溶液(25%)と短時間混合した。この混合物を4℃まで冷却し、次いで、Hockmeyer media mill (Hockmeyer Equipment Corp., Elizabeth City, North Carolinaから販売されているもの)中で、0.4mmのYTZ媒体(Quackenbush Co., Inc., Crystal Lake, Illinoisから販売されているもの)を使用して4800rpmでそれを粉砕し、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液を添加することにより温度を37℃に、またpHを8.8よりも高くなるよう調節した。粉砕を合計で4時間続けた。反応混合物を粉砕機から取り出し、60〜76℃で15時間加熱した。追加の水酸化テトラメチルアンモニウムを加えて、pHを9.2まで上げた。供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を17%固形分まで濃縮し、(0.3%, wt/wt) Proxel GXL (Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)と混合した。最後に、この生成物の一部(112g)を0.7ミクロンのGFフィルターを通して濾過した。

0102

実施例11
顔料分散液(クロロスルホン酸中のPB15のクロロスルホン化;スルファニル酸および分散PB15との結合の実施例)
市販のNewchemic (Montvale, NJ)製のピグメントブルーNo.15:1(60g)を、110〜118℃で1時間、320gの実験用グレードクロロスルホン酸でクロロスルホン化した。反応混合物を25℃まで冷却し、クエンチの温度を0℃未満に調節しながら、水および氷中でクエンチした。沈殿生成物を濾過により単離し、pH4未満で、氷冷水(<5℃)で洗浄して溶解物質を除去した。次いで、生成物ケーキ(365g)を、スルファニル酸(20g、Nation Ford Chemical, Fort Mill, SCから販売されているもの)、Caフリー水酸化ナトリウム顆粒(6.4g)および重炭酸ナトリウム(21.7g)のDI水(200g)中溶液に良好に混合しながら(1100rpm)加えた。このpHを、追加の重炭酸ナトリウム37gおよび炭酸ナトリウム21gで8.0よりも高くなるよう調節した。次いで、この混合物をHockmeyer media mill (Hockmeyer Equipment Corp., Elizabeth City, North Carolinaから販売されているもの)中で、0.2mmのYTZ媒体(Quackenbush Co., Inc., Crystal Lake, Illinoisから販売されているもの)を使用して4000rpmで粉砕した。温度を80℃まで上昇させ、混合物を3時間粉砕した。反応混合物を粉砕機から取り出し、83℃に加熱した。供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を約5%固形分まで濃縮し、1446gの液体を得た。液体生成物の一部(220g)を、Clariant Colors, Charlotte, NC製のピグメントブルー15:3 40gを分散させるために使用し、3時間7000rpmで粉砕した。カルシウムフリー水酸化ナトリウム溶液(1.4g、25%)を滴下添加することで、pHが8より上になるように絶えず調節した。生成物を粉砕機から取り出し、86℃に加熱し、再度、供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を約12%固形分まで濃縮し、(0.3%, wt/wt) Proxel GXL (Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)と混合した。大型粒子を15分間3,200rpmの遠心分離で除去し、生成物(210g)を0.7ミクロンのGFフィルターを通して濾過した。

0103

実施例12
顔料分散液(シアヌリル基の付加および4-アミノ安息香酸ナトリウムの結合に関する実施例)
DI水(600g)中の4-アミノ安息香酸(40g)、カルシウムフリー水酸化ナトリウム(14g)および重炭酸ナトリウム(52g)の溶液を、塩化シアヌル(52g、Lonza Walkersville, Inc., Walkersville, Marylandから販売されているもの)、氷(880g)およびDI水(200g)の撹拌混合物に加えた。反応混合物が乳白色の分散液へ変わった時に、pHは3.1まで上がった。

0104

米国特許第3,347,632号に記載の先行技術のカーボンブラックを次亜塩素酸ナトリウムで酸化させる方法を用い、一次粒径が20nmでB.E.T表面積が160m2/gの市販のガスカーボンブラック(Degussa)を酸化させた。カーボンブラックスラリー(11%で908g)を、1〜6℃に温度を維持しながら、上記の乳白色の分散液にゆっくりと加えた。1時間後、反応混合物を19℃に加熱し、カルシウムフリー水酸化ナトリウム(2g)および重炭酸ナトリウム(10g)を添加することでpHを7.3に保持した[ステップ1]。過硫酸カリウムを添加した後(63.6g、実験用グレード、Fisher Scientific製)、反応混合物を57〜70℃で20時間加熱した[ステップ2]。3Lに希釈した後、カルシウムフリー水酸化ナトリウム(32.3g)でpHを5.3から10.3に上げた。供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を11%固形分まで濃縮し、(0.3%, wt/wt) Proxel GXL (Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)と混合した。最後に、生成物(832g)を0.7ミクロンのGFフィルターを通して濾過した。

0105

実施例13〜21
実施例13〜21は、実施例12に関して上述した同じ方法により調製した。脚注5の追加のステップは、実施例13に特有である。

0106

表2.シアヌル酸付加物を介した小分子の顔料への結合に関する実施例
5 一次粒径が13nmでB.E.T表面積が320m2/gのDegussa。3.6Lまで希釈した後、50%水酸化ナトリウム(20.3g)でpHは5.7から9.0に上昇した。このスラリーを加熱濾過した(90℃、300ミクロンのバッグフィルターを通す)。事前に室温まで冷却しておいた炭素スラリーに、30gの過硫酸カリウムを加えた。DI水(300g)中の4-アミノ安息香酸(15g)の溶液、塩化シアヌル(15.3g、Lonza Walkersville, Inc.製)と一緒にカルシウムフリー水酸化ナトリウム(5g)、および重炭酸ナトリウム(20g)を、この撹拌混合物に加えた。泡状物は、Surfynol CT-121(Air Products & Chemicals, Inc., Allentown, PA製)の滴下添加により調節した。50%の水酸化ナトリウム溶液(5.4g)でpHを7.7に調節し、さらに15分間、高剪断ミキサーで混合した。温度が50℃よりも上に上昇し、20時間維持した。供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を11%固形分まで濃縮し、(0.3%, wt/wt) Proxel GXL (Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)と混合した。最後に、生成物(736g)を1.0ミクロンのWhatman POLYCAP 36 ASフィルターカプセルを介して濾過した。
6 CIBA (Newport, DE)製のPR 122
7 SUN (Parsippany, NJ)製のPY74
8 CIBA製のPB 15:3
9 SUN製のPR 122

表3

0107

表2 続き

表4

0108

実施例22
顔料分散液(シアヌリル基の付加と、4-アミノ安息香酸ナトリウムおよび分子量が約300のアルキル高分子アミンの結合に関する実施例)
DI水(200g)中の4-アミノ安息香酸(7.4g)、カルシウムフリー水酸化ナトリウム(2.3g)および重炭酸ナトリウム(30g)の溶液を、塩化シアヌル(10g、Lonza Walkersville, Inc.製)、氷(130g)およびDI水(40g)の撹拌混合物に加えた。反応混合物が乳白色の分散液へ変わった時に、pHが5.5まで上がった。

0109

pH1.5の濃塩酸(3.75g)を含有するDI水(60g)中のスルホンアミンB 30 (8.6g、Huntsman Chemicals, Austin, TX製)の溶液を、塩化シアヌル(5g、Lonza Walkersville, Inc製)、氷(100g)およびDI水(30g)の撹拌混合物に加えた。反応混合物が乳白色の分散液へ変わった時に、pHが2.1まで上がった。温度を低く(5.7℃)維持しながら、20gの重炭酸ナトリウムでpHを7.1まで徐々に上げた。

0110

硫酸および次亜塩素酸ナトリウムでカーボンブラックをスルホン化し、酸化させることにより形成した、自己分散性カーボンブラック分散液 (Sensijet(登録商標) Black SDP 2000、14%で500g、Sensient Colors Inc, St. Louis, MO製)は、冷蔵庫中で事前冷却した。冷却したカーボンブラック分散液に、温度を6〜13.7℃に維持しながら、上記の冷却乳白色分散液を加えた。1時間後、上記のように調製した(10.7℃)、塩化シアヌルとの4-アミノ安息香酸付加物をよく混合しながら加えた。反応混合物を18.8℃まで温め(pH 7.4)、次いで、34gの過硫酸カリウムを加えた。このステップの直後に、反応混合物を20時間、51〜57℃に加熱した[ステップ1]。2Lに希釈した後、カルシウムフリー水酸化ナトリウム(22g)でpHを7.2から10.9まで上げた。供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を14.4%固形分まで濃縮し、(0.3%, wt/wt) Proxel GXL (Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)と混合した。最後に、生成物(538g)を0.7ミクロンのGFフィルターを通して濾過した。

0111

実施例23〜25
実施例23〜25は、実施例22に関して上記で記載した同様の方法により調製した。

0112

表3.シアヌリル中間体を介した直鎖状プロポキシポリマーの結合
10 Sensijet(登録商標) Black SDP 2000、Sensient Colors Inc, St. Louis, MO製
11 Sensijet(登録商標) Black SDP 1000、Sensient Colors Inc, St. Louis, MO製

表5

0113

実施例26
顔料分散液(スルファニル酸とのシアヌリルtris付加物の調製および顔料の表面改質における使用に関する実施例)
DI水(310g)中のスルファニル酸(114g)、カルシウムフリー水酸化ナトリウム(32g)および重炭酸ナトリウム(55g)の溶液を、pH=8.5で、塩化シアヌル(40.2g、Lonza Walkersville, Inc., Walkersville, Maryland製)、氷(570g)およびDI水(480g)の撹拌混合物に、3段階で、それぞれ温度を<0℃、<3℃および<10℃に調節しながら加えた。添加後、pHは7.1であり、反応混合物を4.5時間かけて90℃まで加熱し、透明な液体1000gを得た。

0114

一次粒径が16nmでCTAB表面積が255m2/gのカーボンブラック12(40g、Cabot Corporation, Billerica, MAから販売されているもの)を、上述の試薬(10.55gのスルファニル酸の当量を使用した)および250gのDI水の撹拌混合物にゆっくりと加えた。この混合物をHockmeyer media mill (Hockmeyer Equipment Corp., Elizabeth City, North Carolinaから販売されているもの)中で、0.2mmのYTZ媒体(Quackenbush Co., Inc., Crystal Lake, Illinoisから販売されているもの)を使用して粉砕した。DI水に溶解した過硫酸カリウムおよび重炭酸ナトリウムの溶液15gを粉砕機に加え、粉砕を合計5時間続けた。供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を11.6%固形分まで濃縮し、(0.3%, wt/wt) Proxel GXL (Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)と混合した。最後に、生成物を0.7ミクロンのGFフィルターを通して濾過した。

0115

実施例27〜38
実施例27〜38は、実施例26に関して上述した同様の方法により調製した。

0116

表4.Tris スルファニル酸-シアヌル酸付加物を介して小分子を顔料に結合する実施例
12 Cabot (Leominster, MA) Monarch(登録商標) 880
13 Cabot (Leominster, MA) Monarch(登録商標) 700

表6

0117

実施例39
顔料分散液(4-アミノ安息香酸とのシアヌルtris付加物の調製および顔料の表面改質における使用の実施例)
DI水(300g)中の4-アミノ安息香酸(90.1g)、カルシウムフリー水酸化ナトリウム(30g)および重炭酸ナトリウム(55g)の溶液、pH=7.2を、塩化シアヌル(40.2g、Lonza Walkersville, Inc., Walkersville, Maryland製)、氷(550g)およびDI水(500g)の撹拌混合物に、3段階で、それぞれ温度を<0℃、<3℃および<10℃に調節しながら加えた。添加後、pHは7.1であり、反応混合物を3時間かけて92℃まで加熱し、透明な液体901gを得た。

0118

一次粒径が20nmでB.E.T.表面積が160m2/gのカーボンブラック(40g、Degussa, Burr Ridge, IL製)を、上述の試薬(10.22gの4-アミノ安息香酸の当量を使用した)および250gのDI水の撹拌混合物にゆっくりと加えた。この混合物をHockmeyer media mill (Hockmeyer Equipment Corp., Elizabeth City, North Carolinaから販売されているもの)中で、0.2mmのYTZ媒体(Quackenbush Co., Inc., Crystal Lake, ILから販売されているもの)を使用して粉砕した。DI水に溶解した過硫酸カリウムおよび重炭酸ナトリウムの溶液8.5gを粉砕機に加え、粉砕を合計6時間続けた。供給試料の塩化物含有量および硫酸塩含有量が50ppm未満になるまで、限外濾過により溶解している不純物を除去した。次いで、生成物を10.3%固形分まで濃縮し、(0.3%, wt/wt) Proxel GXL (Arch Chemicals, Smyrna, GAから販売されているもの)と混合した。最後に、生成物を0.7ミクロンのGFフィルターを通して濾過した。

0119

実施例40〜47
実施例40〜47は、実施例39に関して上述した同様の方法により調製した。

0120

表5.Tris 4-ABA-シアヌル付加物を介して小分子を顔料に結合する実施例

表7

0121

実施例48
上記実施例で得た改質顔料の物性を以下の表に示す。

0122

表6.顔料分散液の分析結果

表8

0123

表6 続き
14 Ca、MgおよびFeの和は原料に不純物として存在し、かつ/または粉砕工程中に形成された。

表9

0124

実施例49
X線光電子分光(XPS)分析
ブラック試料1〜5(表7)、シアン試料(6〜11)、マゼンタ試料(12〜16)およびイエロー試料(17〜21)についてXPSデータを収集し分析した。精製「Tris」試薬の乾燥試料も、顔料表面へ結合されている基の性質を同定するために分析した。

0125

表7.XPSの顔料試料

表10

0126

集束単色AlKα照射線のプローブビームを用いて、EAG研究所(Chanhassen, MN)によりXPSデータを得た。X線によって光電子を生成させ、これをエネルギー分析および計数して、試料表面の原子組成および化学的性質を明らかにした。光電子の脱出深さによって、分析深さが約50Åの外径に限定された。示したデータは低分解能探査走査を含む。これにより0〜1400eVの結合エネルギーのフルスペクトルが得られる。また、選択した元素から得られた高分解能スペクトルがデータに含まれているが、これは化学的状態の情報を提供するものである。スペクトルを用いて、光電子ピーク下の領域を積分し、経験的感度因子を適用することによって、表面組成を得る。XPSデータを図1〜14に示す。

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0127

表8.分析条件

表11

0128

カーボンブラック試料に関する表
以下の表は、検出した元素の100%に標準化した。XPSはHまたはHeを検出しない。検出限界は、通常、他の元素に関しては0.05%〜1.0%の間にある。ダッシュ「-」は、元素が検出されなかったことを示す。実施例[1][カーボン]A-79に関する高いS(0.6)は、クロロスルホン化で導入された表面SO2結合を示す。SAが結合されている実施例[20]および[31]における高いS含有量は、SA結合により表面上に存在するSO3Na基によるものである。未反応のカーボンと実施例[41]で得た4-ABA結合カーボンはともに、予測通り、低レベルのSのみ有していた。未反応カーボンを除く、全試料中に存在するNおよびNaのレベルは、対応するナトリウム塩としてアミノ安息香酸基またはベンゼンスルホン酸基のいずれかとして存在する電荷基の尺度である。

0129

表9-1.カーボンブラック試料のXPS表面濃度(原子%)

表12

0130

表9-2.カーボンブラック試料の炭素の化学的状態(全Cの%)


表13

0131

表9-3.カーボンブラック試料の窒素の化学的状態(全Nの%)

表14

0132

表9-4.カーボンブラック試料の酸素の化学的状態(全Oの%)

表15

0133

表9-5.カーボンブラック試料の硫黄の化学的状態(全Sの%)

表16

0134

スルフィドとして未処理カーボン中に存在するSは、処理した全試料でほとんど酸化されて硫酸塩/スルホンになり、表面荷電基が増した。

0135

PB 15試料に関する表
表10-1.PB 15試料のXPS表面濃度(原子%)

表17

0136

表10-2.PB 15試料の炭素の化学的状態(全Cの%)
*C-O結合は、この結合の強度にも寄与し得る。

表18

0137

表10-3.PB 15試料の窒素の化学的状態(全Nの%)

表19

0138

表10-4.PB 15試料の酸素の化学的状態(全Oの%)

表20

0139

PR 122試料に関する表
表11-1.PR 122試料のXPS表面濃度(原子%)

表21

0140

表11-2.PR 122試料の炭素の化学的状態(全Cの%)
*C-O結合は、この結合の強度にも寄与し得る。
# C2NHは、次の基:
で結合されているそれぞれのC原子を示す。

0141

表11-3.PR 122試料の酸素の化学的状態(全Oの%)

表23

0142

PY 74試料に関する表
表12-1.PY 74試料のXPS表面濃度(原子%)

表24

0143

表12-2.PY 74 試料の炭素の化学的状態(全Cの%)
*C-O結合は、この結合の強度にも寄与し得る。

表25

0144

表12-3.PY 74試料の窒素の化学的状態(全Nの%)

表26

0145

表12-4.PY 74 試料の酸素の化学的状態(全Oの%)

表27

0146

XPSの結果は、記載のような表面改質により、約0.7〜2.7原子%で、ほぼ均一に分布しているNH/N-C=N基として表面窒素に増加がみられる、改質カーボンブラックが得られていることを示唆している。

0147

XPSの結果は、記載のような表面改質により、6.8〜20.9%の原子%で表面酸素を有する改質カーボンブラックが得られていることを示唆している(ここで、酸素の>51〜62%は、C=O、COONa、またはSOx基として存在し、また残り(49〜38%)がC-O基として存在する)。対照的に、未処理のカーボンブラックにおける表面酸素はわずか約2.4%であり、32%がC=O、COONaまたはSOx基として分布し、残り(68%)がC-O基として分布している。SOxは、Sの酸化形態であってもよく、これらに限定されるものではないが、スルホン、硫酸塩またはスルホン酸が挙げられる。

0148

XPSの結果は、記載のような表面改質により、約0.7〜2.6%の原子%で、COONa/SO3Naとしての表面ナトリウムの増加のある改質カーボンブラックが得られていることを示唆している。

0149

XPSの結果は、記載のような表面改質により、存在するSの少なくとも90%が酸化型S (SOx)である、改質カーボンブラックが得られていることを示唆している。

0150

未処理のカーボンブラック、ならびに実施例1、20、31および41で得たカーボンブラックに関するXPSの結果を、図1〜4に示す。

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0151

XPSの結果は、記載のような表面改質により、未処理顔料における低い1.6%と比べると有意に高い表面酸素含有量(>2.5%原子比率)を有する、改質ピグメントブルーNo.15が得られていることを示唆している。未処理のピグメントブルーNo.15、ならびに実施例7、9、11、16および42で得たピグメントブルーNo.15に関するXPSの結果は、図5〜7に示す。

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0152

XPSの結果は、記載のような表面改質により、8.3〜9.8%の原子比率で表面酸素を有する(この場合、未処理顔料中にC-Oとして存在するのがわずか12%であるのに対し、全Oの24〜32%がC-O結合として存在する)、改質ピグメントレッドNo.122が得られていることを示唆している。未処理のピグメントレッドNo.122、ならびに実施例14、21、37および45で得たピグメントレッドNo.122に関するXPSの結果を、図8〜11に示す。

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0153

XPSは、記載のような表面改質により、21.6〜29.3%の原子比率の表面酸素を有し、その42〜48%がC=O、COONa/CSO3Naとして存在する、改質ピグメントイエローNo.74が得られていることを示唆している。対照的に、未処理顔料では、表面酸素はわずかに約20.8%であり、その41%がC=O、COONa/CSO3Na基として存在する。未処理のピグメントイエローNo.74、ならびに実施例15、29および46で得たピグメントイエローNo.74を、図12〜14に示す。

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0154

実施例50
表13.元素分析(C、H、NおよびSの%)
15 ナトリウムおよびカリウムは、元の分散液のICP金属分析から固形分100%において算出した。

表28

0155

表13 続き 元素分析(C、H、NおよびSの%)
15 ナトリウムおよびカリウムは、元の分散剤のICP金属分析から固形分100%において算出した。

表29

0156

元素分析の結果は、記載のような表面改質により、顔料1グラムにつき0.168〜0.430ミリモルのSおよび0.070〜0.313ミリモルの活性水素を有する、改質ピグメントブルーNo.15が得られていることを示唆している。

0157

元素分析の結果は、記載のような表面改質により、顔料1グラムにつき0.062〜0.187ミリモルのSおよび0.077〜0.394ミリモルの活性水素を有する、改質ピグメントレッドNo.122が得られていることを示唆している。

0158

元素分析の結果は、記載のような表面改質により、顔料1グラムにつき0.131〜0.178ミリモルのSおよび0.192〜0.290ミリモルの活性水素を有する、改質ピグメントイエローNo.74が得られていることを示唆している。

0159

元素分析の結果は、記載のような表面改質により、顔料1グラムにつき0.103〜0.702ミリモルのSおよび0.203〜1.579ミリモルの活性水素を有する、改質カーボンブラックが得られていることを示唆している。

0160

実施例51
粒径および安定性の測定
8〜15%固形分を含む試料は、1滴の試料を15mlの脱イオン水へ希釈し、気泡を防ぎながら、1cmの使い捨てのキュベットへ充填することにより調製した。次いで、Malvern Zetasizer NanoシリーズModel ZEN3600を用いて、試料中の平均粒径を測定した。

0161

表14.顔料分散液の粒径測定および安定性データ

表30

0162

実施例52〜55
印刷性能−エプソンC88+プリンタによる印刷試験
合計3セットのインクセットを調製した。インクを構成する第1のセット(SA3)は、下に詳述したように、スルファニル酸(SA)付加によって製造された分散液から調製した。第2および第3のインクセット(BA3およびBA)は、4-アミノ安息香酸(4-ABA)付加の顔料を使用して調製した。着色インクセットを使用することが知られている、エプソンC88+プリンタモデルB251Aを使用して、テストページを、4枚の異なった一般に使用されているコピー用紙で印刷した。印刷したページは、Center for Integrated Manufacturing, Rochester Institute of Technology, Rochester, NYにより分析された。結果を表17および20〜22に示す。

0163

実施例52
以下のインクベースを下記の方法に従って調製し、ブラック分散液を有する最終的なインクを調製するのに用いた。

0164

表15. インクベースIの処方

表31

0165

まず、9.6重量%の水をきれいな容器に加えた。次いで、水を撹拌するために容器の内部に混合装置を置き、他の成分を加える間、混合した。混合は磁気撹拌装置を使用することにより行った。次に、10重量%の2-ピロリドン、5重量%の1,5-ペンタンジオール、4重量%のPEG 600、および1重量%の1,2-ヘキサンジオールを容器に加えた。これらを溶解させた。次いで、0.1重量%のSurfynol 104E 溶液および0.3重量%のNipacide BIT 20を加え、溶解させた。

0166

実施例53
以下のインクを下記の方法により調製した。

0167

表16.インクA〜C

表32

0168

第2の容器は、表16の各容器に顔料分散液に対する算出重量%のDI水を加えることにより調製した。次いで、磁気撹拌装置を容器に入れた。次に、第2の容器中の顔料分散液に、インクベース、次いでSurfynol界面活性剤(Air Products & Chemicals, Inc., Allentown, PA)をゆっくりと加えた。分散液はこの工程中、混合した。全ての希釈液を加えた後、インクを約1時間混合するか、インクが完全に均一になるまで混合した。混合後、1ミクロンのガラスフィルター(Whatman, Kent, Englandから販売されているもの)を使用して濾過した。

0169

ブラックインクの印刷性能特性を下記に同定している。

0170

画質は、ImageXpert Full Motion Systemにより測定した。吸光度は、X-rite 939 Spectrodensitometerにより測定した。オゾン暴露はRITカスタムオゾンチャンバーを使用して測定し、サザーランドラブテストはサザーランドインク摩擦試験器で行った。RITは、インクセットおよび媒体により同定した印刷ページと共に供給された。Highlighter AはSanford Yellow Major Accent(登録商標)であり、Highlighter BはAvery Dennison Fluorescent Yellow Hi-Liter(登録商標)である。

0171

表17.印刷性能特性
SA付加インクAならびに4ABA付加インクBおよびC

表33

0172

表17 続き 印刷性能特性
SA付加インクAおよび4ABA付加インクBおよびC
$ インクセット3にはオフィスデポ104の代わりにエプソンフォトペーパーを使用した。

表34

0173

実施例54
以下のインクベースは下記の方法により調製し、色分散液と共に最終インクを製造するのに用いた。

0174

表18.インクベースII処方

表35

0175

まず、12.3重量%の水をきれいな容器に加えた。次いで、水を撹拌するために容器の内部に混合装置を置き、他の成分を加える間、混合した。混合は磁気撹拌装置を使用することにより行った。次に、14重量%のグリセリン、2重量%のPEG 600、3重量%のブチルカルビトール、2重量%のエタノール、および1重量%のブタノールを容器に加えた。これらを溶解させた。次いで、0.1重量%のトリエタノールアミンを加え、溶解させた。最後に、0.3重量%のCobratec溶液および0.3重量%のXbinx 19Gを加え、溶解させた。

0176

実施例55
以下のインクを下記の方法により調製した。

0177

表19.インクD〜L

表36

0178

表19 続き インクD〜L

表37

0179

第2の容器は、表19の各容器に顔料分散液に対する算出重量%のDI水を加えることにより調製した。次いで、磁気撹拌装置を容器に入れた。次に、第2の容器中の顔料分散液に、インクベースを、次いでSurfynol界面活性剤(Air Products & Chemicals, Inc., Allentown, PA)をゆっくりと加えた。この分散液はこの方法を行っている間、混合した。全希釈液を加えた後、インクを約1時間混合するか、インクが完全に均一になるまで混合した。混合後、1ミクロンのガラスフィルター(Whatman, Kent, Englandから販売されているもの)を使用して濾過した。

0180

カラーインクの印刷性能特性は下記のように同定されている。

0181

表20. SA付加顔料分散液で調製したインクセット1

表38

0182

表20 続き SA付加顔料分散液で調製したインクセット1

表39

0183

表21. 4ABA付加顔料分散液で調製したインクセット2

表40

0184

表21. 続き 4ABA付加顔料分散液で調製したインクセット2

表41

0185

表22. 4ABA付加顔料分散液で調製したインクセット3

表42

0186

表22.続き 4ABA付加顔料分散液で調製したインクセット3

表43

0187

実施例56
ウッドステイン用途の性能
以下のウッドステインを調製し、18%のJoncryl 95 (Johnson Polymer, Sturtevant, WIから販売されているもの)および残部の脱イオン水からなる樹脂溶液を加える、6%の乾燥顔料で試験した。巻き線型rod#7(Paul N. Gardner Company, Pompano Beach, FLから販売されているもの)を使用する、Leneta Form 3NT-3上でのドローダウンの耐水性比較は、1"×4"の細長い一片で行った。各片の半分を1分間脱イオン水に浸漬した。周囲温度でこれらの一片を乾燥させた。色差(DE*)は分光光度計で記録した。DE*が低くなるほど良好な耐水性を示す。

0188

表23.ウッドステイン比較

表44

0189

実施例57
被覆性能
以下の被覆剤(Masstone)を調製し、25%のアクリル系ビヒクル(Valspar, Wheeling, ILから販売されているもの)および残部の脱イオン水からなる樹脂溶液を加える、6%の乾燥顔料で試験した。ドローダウンは、6.0ミル巻き線型ロッドを使用し、Leneta 2A型の上に調製した。耐薬品性は、Masstoneドローダウン上に、10%塩酸10滴と10%水酸化ナトリウム溶液10滴をスポットすることにより別々に測定した。耐薬品性の程度は、スポット領域と対照領域のDE*値をとることにより測定する。

0190

表24.強酸(10%塩酸)に対する耐被覆性

表45

0191

表25.強塩基(10%水酸化ナトリウム)に対する耐被覆性

表46

0192

実施例58
カラーフィルター用途の性能
以下のカラーフィルター製剤を調製し、脱イオン水で合計75%に調節し、次いで、30%のValsparのアクリル系ビヒクル、30%のJoncryl 1972 (Johnson Polymer, Sturtevant, WIから販売されているもの)および40%の1-メトキシ-2-プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)からなるビヒクル(25%)と混合し、加える、6%の乾燥顔料で試験した。巻き線型ロッド#7(Paul N. Gardner Company, Pompano Beach, FL)を使用する透明なオレフィンポリマー基質上のカラーフィルターコーティング剤の透過率の値は、周囲温度で乾燥させた後に測定した。

0193

表26. カラーフィルター被覆剤の透過率の値

表47

0194


実施例59
捺染用途の性能
以下の捺染糊を調製し、Delta Ceramcoat Textile Medium16 (33%)、Valsparアクリル系ビヒクル(5%)および残部の脱イオン水を加える、6%の乾燥顔料で試験した。白色綿織物上の印刷ペースト剤のドローダウンは、6.0ミル巻線測光ロッドを使用して調製した。周囲温度で乾燥させた後、印刷を加熱器内で10分間140℃にて加熱固定した。織物を1"×4"の一片にカットし、各片の半分(1"×2")を5分間、沸騰している脱イオン水に浸漬した。その後、暴露した一片を1分間冷たい水道水で洗浄し、周囲温度で乾燥させた。洗濯堅牢度および耐水性は、対照と処理繊維の全色差(DE*)を測定することにより評価した。

0195

表27. 洗濯堅牢度および耐水性の評価
16 この量は、2つのPB 15顔料分散液に対して23% DCTMおよび2% VAVに調節した。

表48



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